判定日の診察室、モニターに表示される「hCG 0.1」の文字。
これで4回目…。頭が真っ白になりながら、「どうして私たちのところには来てくれないんだろう」と、また自分を責めました。高額な費用、じわじわと続く薬の副作用、そしてまた振り出しに戻る絶望感。
移植周期は、採卵という大きな山を越えた先にある、不妊治療のクライマックス。それなのに、最も心がえぐられる期間かもしれません。
このブログ記事は、4度の陰性を経験した私が身をもって学んだ
- しつこい着床不全の原因を探る検査のリアル(子宮内フローラ・NK細胞)
- 地味に辛い黄体ホルモン補充(膣剤)の副作用と賢い付き合い方
- リアルな高額費用とその対策
- まさかの「移植中止」で心を折らないための方法
をお伝えします。
【原因究明編】なぜ私の卵は着床しないのか?後悔しないための高額検査リアルレポ

4回も陰性が続くと、「もう私たちの卵は着床する力がないのかもしれない…」なんて、弱気にもなりますよね。
でも、諦める前にできることはないか?そう考えて私が行き着いたのが、子宮環境を徹底的に調べる、いわゆる「着床不全検査」でした。
正直、高額です。でも、原因不明のまま移植を繰り返すのは、ゴールが見えないマラソンを走り続けるようなもの。「後悔したくない」その一心で、検査に踏み切りました。
子宮内フローラ検査:8万円超の価値はあった?
最初に受けたのが、子宮内の細菌バランスを調べる「子宮内フローラ検査」です。子宮内に善玉菌(ラクトバチルス)が少ないと、着床の妨げになることがあるそう。
- 決断の経緯:
正直、費用が高額(私のクリニックでは約5万円)なので、最初は見送っていました。でも、医師から「原因がはっきりしないまま移植を繰り返すより、一度調べてみる価値はある」と言われ、決断。ここで原因が分かれば、対策のしようがある。そう思ったら、もう迷いはありませんでした。 - 費用のリアル:
この時、後述する免疫の検査(NK細胞活性)も同時に受けたので、合計で8万円超え。これは未来への投資。そう自分に言い聞かせました。 - 検査の痛み:
SNSでは「痛くない」という声もあれば「激痛」という声もあってビクビクしていましたが、私の場合は…「無麻酔で採卵したときの痛みにそっくり」でした。子宮の奥を器具で擦られるような、ズーンと重い痛み。正直、めちゃくちゃ痛かったです。「いっっった!」と声が出ました。でも、痛みは一瞬。採卵と違って、一度の衝撃で終わります。これで原因がわかるなら、耐えられる痛みでした。 - 検査前の準備:
より正確な結果を出すため、移植周期と同じようにプロバイオティクスの膣錠を使ってから検査に臨みました。これは、「移植本番のコンディション」を再現するため。クリニックによって方針が違うと思うので、必ず確認してください。
結果は、なんと「ラクトバチルス98%」。まさかの100点満点に近い評価でした。

免疫の罠:NK細胞活性と1回1.3万円のイントラリポス点滴
子宮内フローラと同時に調べていたのが、免疫の働きをみる「NK(ナチュラルキラー)細胞活性」の検査です。本来、NK細胞はウイルスなどから体を守ってくれる頼もしい存在。でも、その働きが強すぎると、大切な受精卵を「異物」とみなして攻撃してしまうことがあるんだとか。
- 衝撃の結果:
子宮内フローラが良好だったので油断していたら、こちらはまさかの「高値」。基準値をオーバーしていました。 - 具体的な対策:
そこで提案されたのが「イントラリポス点滴」でした。これは大豆油を主成分とした点滴で、免疫の過剰な働きを抑え、受精卵を受け入れやすくする(免疫寛容)効果が期待できるそうです。 - 費用と負担:
費用は自費診療で1回13,200円(税込)。移植周期に2〜3回行うのが一般的とのこと。そして、地味に大変なのが点滴に3時間かかること。仕事を半休してクリニックに通い、腕に管を通したままひたすら待つ。身体的な負担はもちろん、時間的な拘束も大きいなと感じました。
でも、これで着床の可能性が上がるなら。
原因がわかって、具体的な対策が打てと思うと少し前向きになれました。
先進的な検査はまだ研究段階の部分もありますが、日本生殖医学会などでも議論されており、原因究明の一つの選択肢として注目されています。

【周期選択編】まさかの移植中止!「排卵済み」の絶望と最適な周期方法の見つけ方

着床不全の検査と対策が決まり、いよいよ5回目の移植周期へ!…と思いきや、ここでまさかの落とし穴が待っていました。移植周期の方法には、大きく分けて「自然周期」と「ホルモン補充周期」があります。私はこれまで3回ともホルモン補充周期だったので、心機一転、自然周期に挑戦することにしたのですが…。
周期方法の選択とリスク
まずは、それぞれの周期方法のメリット・デメリットを簡単におさらいしましょう。
| ホルモン補充周期 | 自然(モディファイド)周期 | |
|---|---|---|
| メリット | ・薬で管理するため移植日を調整しやすい ・排卵済みによる中止リスクが低い | ・薬の使用が最小限で身体への負担が少ない ・ホルモン補充の副作用が出にくい |
| デメリット | ・薬(貼り薬、飲み薬、膣剤)が多く大変 ・副作用(頭痛、吐き気など)が出やすい | ・排卵タイミングが読みにくく、通院が増える ・排卵済みによる中止リスクがある |
私は3回連続でホルモン補充周期がうまくいかなかったことと、薬の副作用から少しでも解放されたいという思いから、「自分の体の力を信じてみたい」と自然周期を選びました。
【体験談】排卵済みによる移植中止の落とし穴
排卵日を予測するため、クリニックの指示通りに通院していた移植周期4回目。移植日も決まり、あとは当日を待つだけ…だったはずが、移植日直前の診察で、医師から衝撃の一言が。
「あー…排卵済みですね。今回の移植は中止です」
あんなに入念に準備してきたのに?
ぶー奈また1ヶ月、最初からやり直しか…
この経験から学んだのは、自然周期を選ぶなら、こまめな排卵検査薬の使用や、医師との密な連携が不可欠だということ。
そして、私のように排卵が不安定なタイプは、やはり中止リスクの低いホルモン補充周期の方が精神衛生上、合っているのだと痛感しました。
結局、次周期はホルモン補充周期に戻し、無事に移植へと進みました。
【副作用対策編】地獄の膣剤…「カス・眠気」との賢い付き合い方【ワンクリノン vs ウトロゲスタン】
移植が終わっても、判定日まで続くのが黄体ホルモンの補充。特に膣剤は、生活の質(QOL)を地味〜に下げてくる、なかなかの強敵です。私も2種類の膣剤を経験したので、そのリアルな使用感と副作用対策を徹底比較します!
ワンクリノン vs. ウトロゲスタンの基本比較
| ワンクリノン膣用ゲル | ウトロゲスタン膣用カプセル | |
|---|---|---|
| 形状 | ジェル(アプリケーター式) | 卵型のカプセル |
| 回数 | 1日1回(私の場合は昼12時) | 1日3回(朝・昼・夜) |
| 費用(3割負担) | 約5,640円 | 約4,550円 |
| 特徴 | ・1回で楽 ・カスが出る、要安静 | ・カスは少ない ・回数が多く忘れやすい |
詳しくはKEGG MEDICUSの医薬品の添付文書に記載されています。
ワンクリノンの最大の壁:「カス問題」と「要安静」
ワンクリノンは1日1回で済むのが最大のメリット。でも、それを上回る強烈なデメリットがありました。
- 噂以上の「白いカス」問題:
これは本当にすごかったです(笑)。ポロポロとした白い消しゴムのカスのようなものが、下着にびっしり。おりものシートでは全く歯が立たず、常に昼用のナプキンが必須でした。トイレに行くたびに「うわっ」となるのが、地味なストレスでしたね。 - 「注入後15分安静」の壁:
私のクリニックでは、注入後15分は安静にするよう指示がありました。これが働く私にはかなりの難関。職場の昼休みにトイレの個室で注入し、不自然にデスクに突っ伏して安静時間をやり過ごすのは、周りの目も気になり本当にストレスでした。
ウトロゲスタンのメリットと「うっかり」リスク
一方のウトロゲスタンは、1日3回という手間はありますが、私にはこちらの方が合っていました。
- 最大のメリットは「手軽さ」:
指でスッと挿入するだけなので、場所を選びません。職場のトイレでもサッと済ませられるので、日中働く身としては本当にありがたかったです。カスもワンクリノンに比べれば気になりませんでした。 - 最大のデメリットは「うっかり忘れ」:
1日3回なので、どうしても忘れがち。
共通の副作用:強烈な眠気対策
どちらの薬を使っても共通して悩まされたのが、黄体ホルモンの影響による強烈な眠気です。もう、本当にすごい。仕事中の会議で舟を漕ぎそうになったり、電車の乗り過ごしは日常茶飯事でした。
こればっかりはホルモンの影響なので、気合でどうにかなるものではありません。私が実践した対策は、
- 「これは薬の副作用だ」と割り切る
- 運転など、危険を伴う行動は避ける
- どうしても辛い時は、5分だけ仮眠をとる
「眠いのは、体が妊娠の準備をしている証拠!」と前向きに捉えて、無理せず安全第一で過ごすのが一番です。


【費用と心の問題】総額100万円超え。それでも、私たちが治療を続ける理由


不妊治療は、心と体の負担だけでなく、お財布への負担も本当に大きいですよね。特に、結果が出ないまま回数を重ねていくと、「私たちの治療、いつまで続くんだろう…」という不安が、重くのしかかってきます。
高額な先進医療オプションの詳細
私が受けた4回目の移植は、初期胚と胚盤胞を時間差で移植する「2段階移植」でした。その際の費用総額は、保険適用の移植術なども含めて約19.5万円。
不妊治療の費用を振り返ってみると、採卵5回・移植4回で年間100万円を超えていましたが、その費用のうち、妊娠率を上げるための先進医療オプション(タイムラプス、SEET法、子宮内フローラ検査など)が、全体の約45%を占めていました。胚移植術そのものは保険適用になっても、こうしたオプションは自費になることが多いのが現実です。
「このオプションを追加すれば、少しでも確率が上がるかもしれない」
そう思うと、つい「お願いします」と言ってしまう。後悔したくないからこその選択ですが、この積み重ねが大きな出費となっていました。
移植費用を軽減する方法
でも、諦めるのはまだ早いです!高額な費用負担を少しでも軽くする方法はあります。
- 医療保険の「手術給付金」を確認!
意外と知られていないのですが、胚移植術は医療保険の「手術給付金」の対象になることがあります。私も申請して、給付金を受け取ることができました。契約内容によるので、ご自身が加入している保険会社に「胚移植術は対象になりますか?」とぜひ問い合わせてみてください。 - 「先進医療特約」は入ってる?
もし保険に「先進医療特約」がついていれば、タイムラプスやザイモートといった高額な先進医療にかかった費用が給付金の対象になる可能性があります。これも要チェックです! - 領収書は必須!絶対に保管を。
保険申請や、年末の医療費控除の際に、領収書は必須です。絶対に捨てずに、ファイルなどでまとめて保管しておきましょう。


結論:後悔のない選択をするために


ここまで、私の移植周期での経験をお話ししてきました。
移植周期は、身体的にも金銭的にも、そして精神的にも、不妊治療の中で最も負担が大きい期間かもしれません。
大切なのは、
- 情報武装(検査や薬剤の知識を持つこと)
- 心のケア(夫婦で協力し、完璧を目指さないこと)
この2つです。
そして、もう一つ、とても酷なことかもしれませんが、「治療の『終わり』を考えておくこと」も、心の安定剤になります。
「あと〇回移植したら、一度お休みしよう」「〇歳になったら、次のステップを考えよう」と夫婦で話し合いゴールを決めておくことも大切かもしれません。








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